公正証書遺言のすすめ――費用と作成の流れをやさしく解説
「遺言書を作るなら、一番確実な方法で残したい」とお考えの方におすすめなのが、公正証書遺言です。公証人という法律の専門家が作成に関わるため、無効になるリスクがほとんどなく、大切な想いを確実に届けることができます。今回は、公正証書遺言のメリットと、作成の流れ・費用について解説します。
公正証書遺言とは
公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、公証人がそれを公正証書として作成する遺言書です。全国にある公証役場で作成でき、体調などの事情で外出が難しい場合には、公証人にご自宅や病院、施設まで出張してもらうこともできます。
公正証書遺言の4つのメリット
第一に、無効になる心配がほとんどありません。法律の専門家である公証人が作成するため、自筆証書遺言にありがちな形式不備での無効リスクを避けられます。
第二に、原本が公証役場に保管されます。紛失・改ざんの心配がなく、万一手元の正本・謄本を失くしても再発行が可能です。相続人は全国の公証役場で遺言書の有無を検索することもできます(遺言検索システム)。
第三に、家庭裁判所の検認手続きが不要です。相続開始後、すぐに遺言の内容を実現する手続きに入れるため、ご遺族の負担が軽くなります。
第四に、文字が書けなくても作成できます。自筆証書遺言と違い手書きの必要がないため、手が不自由な方や、病気で筆記が難しい方でも作成可能です。
デメリットも知っておきましょう
公正証書遺言には、公証人手数料がかかります。手数料は財産の額や分け方によって変わりますが、例えば財産総額が数千万円程度のケースでは、おおむね数万円台が目安です。また、作成時には証人2名の立会いが必要です。推定相続人(相続人になる予定の方)やその配偶者・直系血族は証人になれないため、適当な方がいない場合は専門家や公証役場に手配を依頼します。
費用と手間はかかりますが、「遺言が無効になるかもしれない」という不安から解放される安心感は、それに見合う価値があるといえるでしょう。
作成の流れ
公正証書遺言は、おおむね次のような流れで作成します。
まず、財産の棚卸しと意向の整理をします。不動産の登記事項証明書や預貯金の情報をそろえ、誰に何を遺すかを考えます。次に、遺言の文案を作成し、必要書類(戸籍謄本、印鑑登録証明書、不動産の評価証明書など)を収集します。その後、公証役場と文案や日程の打ち合わせを行い、作成当日は証人2名の立会いのもと、公証人が遺言の内容を読み上げて確認し、遺言者・証人・公証人が署名押印して完成です。
ご自身で公証役場とやり取りすることもできますが、文案の作成や書類集めには専門知識が必要な場面も多く、行政書士などの専門家がサポートに入るケースが一般的です。
あわせて検討したい「遺言執行者」の指定
公正証書遺言を作成する際は、遺言の内容を実現する責任者である「遺言執行者」を指定しておくことを強くおすすめします。遺言執行者がいれば、預貯金の解約や名義変更などの手続きを遺言執行者が単独で進められるため、相続人全員の署名押印を集める手間がなくなり、手続きが格段にスムーズになります。遺言執行者には相続人の一人を指定することもできますが、手続きの負担などを考えて、行政書士などの専門家を指定される方もいらっしゃいます。
よくあるご質問
Q.遺言の内容は誰かに知られてしまいますか?
A.公証人と証人には内容を知られますが、いずれも法律上の守秘義務を負っています。ご家族に知られることはありません。
Q.後から内容を変更できますか?
A.できます。新しい遺言書を作成すれば、内容が抵触する部分は新しいものが優先されます。全部を作り直すことも、一部だけ変更することも可能です。
Q.体が不自由で公証役場に行けない場合は?
A.公証人に自宅・病院・施設へ出張してもらえます(出張の場合は手数料が加算されます)。入院中に作成されるケースも珍しくありません。
当事務所がお手伝いできること
当事務所では、ご意向のヒアリングから遺言文案の作成、必要書類の収集、公証役場との打ち合わせ、証人の手配まで一貫してサポートしています。お客様には基本的に作成当日に公証役場へお越しいただくだけで、確実な遺言書を完成させることができます。
「家族に迷惑をかけたくない」「想いを確実に残したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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